【プロが解説】 カリフォルニアワインの歴史と魅力 おすすめランキング TOP10

アメリカ合衆国のワイン生産の約90%が集中している一大ワイン産地がカリフォルニアです。世界で一番ぶどうの栽培に恵まれていると言われる気候と土壌は、様々なワインを生み出し世界中のワインラバーを魅了しています。その魅力と特徴を解説します。

カリフォルニアワインの産地と特徴

カリフォルニア地図
カリフォルニア地図 出典:California Wine Institute

ノースコースト

サンフランシスコの北にあり、カリフォルニアワインでは一番の本格的で品質の高い銘醸ワインを産出するのがノースコーストです。海と山に囲まれており様々な気候と土壌を持ちあわせています。中でも有名なのはナパとソノマです。正式にはカウンティ(郡)分類でナパ・カウンティと呼ばれています。ナパの主要ぶどう品種はカベルネソーヴィニヨンで約50%、その他メルローやシャルドネなどの高級品種です。フランス・ボルドータイプの赤ワインが主で、オーパスワンやドミナス・ハーランといった偉大なワインが造られます。ソノマはナパより広い面積を持ちカベルネソーヴィニヨン種やシャルドネ種などが主ですがピノノワールの生産もさかんで、フランス・ブルゴーニュタイプのワインも注目されています。

セントラルコースト

南北に長く広がる地域で、冷涼な沿岸ではピノノワールやシャルドネが多く栽培されており、内陸ではカベルネソーヴィニヨンやジンファンデルなどが造られています。その他多くのぶどう品種が栽培されているので様々なタイプのワインがあります。10のカウンティ(郡)でぶどう栽培されています。

シエラ フットヒルズ

シエラネバダ山脈のふもとに位置し、山間にある地域です。1850年代にここでゴールドラッシュ(新しい金が発見された地へ一攫千金を夢見る採掘者が殺到)が起き、急激に人口が増えたことにより、ワイン造りが始まったとされます。代表的なぶどう品種はジンファンデル種と、黒ぶどうを白ワインの製法で造る「ブラッシュ」というロゼワインが有名です。

セントラルヴァレー

カリフォルニアワインの50%を占める最大の生産地です。ぶどう栽培の他、柑橘類や野菜など多くの農産物が生産されています。近代的な設備を持つメーカーが多く、デイリーで早くから飲めるタイプのワインを多く造っています。ぶどう品種はカベルネソーヴィニヨン種やジンファンデル種、メルロー種、シャルドネ種など様々です。

サウスコースト

一番南に位置しており、気候も非常に暑く乾燥してる地域になります。セントラルヴァレー同様デイリーなワインが多く造られています。ぶどう品種もカベルネソーヴィニヨン種やジンファンデル種、テンプラニーリョ種、シャルドネ種など様々なぶどうが造られています。近年は農地が減少し、ワイン造りも減少気味にあります。

カリフォルニアワインの歴史

カリフォルニアは西部開拓の後に開けた地域なので歴史は非常に浅く、19世紀中頃とされています。また今のように世界的な名声を得るまでの道のりは厳しい試練がありました。現在でもたびたび起こる山火事などの自然災害に悩まされています。

  • 1850年頃・・・カリフォルニアでゴールドラッシュ、人口増大に伴いワイン造りが始まる。
  • 1870年頃・・・フィロキセラが発生し、ぶどうが全滅してしまう。
  • 1920年・・・・・アメリカ全土に禁酒法成立、酒の製造、販売が出来なくなる。
  • 1933年・・・・・禁酒法廃止、安価で品質の悪いワインが出回る。
  • 1940年以降・・カリフォルニア大デイヴィス校等の努力により、地質や醸造技術の研究がされ、品質の向上が進む。
  • 1976年・・・・・パリで行われた「パリスの審判」でカリフォルニアワインがボルドーワインに勝利。
  • 1978年・・・・・ムートンとモンダビが「オーパスワイン」を造り出す。

アメリカのワイン消費量は2013年にフランスを追い越し世界一(人口当たりではない)となっていますが、そもそも移民の国であるアメリカはビールやウイスキーを飲んでいました。ワイン消費を定着させるには並大抵の努力ではなかたと推測されます。

カリフォルニアワインパーティ

パリスの審判

カリフォルニアワインの名声を一躍世界に轟かせたのが1976年にパリのインターコンチネンタルホテルで行われた「パリスの審判」です。1972年に英国人スティーヴンスパリュアがパリでワインの学校「アカデミーデュヴァン」を開設しました。1976年はアメリカの建国200周年ということで、学校の宣伝も兼ねイベントを企画したのが、後に伝説となった「パリスの審判」です。

フランス・ボルドー産の一流ワインとカリフォルニアワインをブラインドの試飲で対決させようとの試みです。ボルドーワインは赤のムートンロートシルト、オーブリオンなど、白はムルソーやバタールモンラッシェなど一流のワインです。審査員も三ツ星レストラン「タイユヴァン」のオーナーや「トゥールダルジャン」のシェフソムリエ、DRCの共同経営者などです。

当然、一流のボルドーワインに叶うはずがないと思われていましたが、赤白とも一位を獲得したのは何とカリフォルニアワインだったのです。赤が「スタッグスリープ」白が「シャトーモンテレーナ」でした。この番狂わせのニュースは世界中に行き渡り、カリフォルニアワインの実力を見せつけたのです。1978年にはムートンがモンダビと共同で「オーパスワン」を造りだし、フランスの一流シャトーがカリフォルニアワインを認めたと話題になりました。

アメリカのワイン法

ワイン法制定は1978年です。原産地・ぶどう品種・収穫年を表示する規定があります。表示するには当該ぶどうを何%以上使用する必要があるということになります。欧州で規定されている栽培方法・醸造方法の規定はありません。また格付けのランクも現在存在していません。

エリア産地を表示するにはぶどう品種を表示するには収穫年を表示するには
国名その地域のぶどうを75%以上そのぶどうを75%以上その年のぶどうを85%以以上
州名同75%以上同75%以上同85%以上
郡名同75%以上同75%以上同85%以上
AVA名同85%以上同75%以上同95%以上
畑名名同95%以上同75%以上同85%以上
ワイン法の表示規定

産地表示や収穫年の表記について、州ごとに独自に規定があったりとやや複雑です。例えば、カリフォルニア州では産地表示をカリフォルニアとするには75%以上ではなく、100%であり、オレゴン州では95%以上となっています。A.V.A(=American Viticultural Area)とは政府公認ワイン指定栽培地域の事で、アメリカ全土で139か所認定されています。

その他のワイン産地

  • オレゴン州・・・穏やかな海洋性の気候で冷涼な地域、ピノノワール種が主に栽培されてる。
  • ニューヨーク州・・・ハドソン河流域やロングアイランド等で小さなワイナリーが多い。
  • ワシントン州・・・年間の平均日照時間が長く昼夜の寒暖差があり、凝縮したぶどうが採れる。

おすすめのカリフォルニアワイン TOP10

第1位 アメリカで一番売れているジンファンデルはこれだ!

ナーリーヘッド1924 ダブルブラック ジンファンデル

ナーリヘッド1924
ナーリーヘッド ダブルブラック

セントラルヴァレー・ロダイAVA カリフォルニアのジンファンデルと言えばこの蔵!とまで言われるワイナリーでこれまで「USワイン生産者オブザイヤー」「アメリカンワイナリオブザイヤー」それぞれ3度選ばれた優秀な生産者です。ナーリーヘッドはアメリカで一番売れているジンファンデルとしても注目され続けています。ジンファンデルはワイヤーを使わない低木のブッシュヴァインで樹齢は30年から85年と古くコブのような頭をした株で、小粒で凝縮したぶどうを育みます。このワインはジンファンデルの聖地ロダイで造られており平均85年の驚くほどの樹齢のパワーある極上の味わいとなっています。

 

 

第2位 コストパフォーマンスが抜群なナパワイン!

フォースター ナパヴァレー カベルネソーヴィニヨン

フォースター
フォースターCS

ノースコート・ナパヴァレーAVA このワインはイタリア出身の醸造家が手掛けるコストパフォーマンスが最高な「ナパ」ワインです。ナパヴァレーAVAは最近とても値上がりをしており、2000円台で買えるものは非常に少ないのが現状です。それだけナパは世界中に愛好家がいるのでしょう。ナパのラザフォード地区にぼぶどう畑があり、ここはミネラル分が豊富な土壌「ラザフォードダスト」で知られている銘醸地です。黒カシスやダークベリー、ザクロに加えてタバコやナッツのアロマというように非常に奥深い香りを持ち、リッチなブラックベリーやバニラの風味と整った上品なタンニンです。また長く優雅な余韻が特徴で、ナパヴァレーのパワーあふれるブドウに華やかさを与えています。カベルネソーヴィニヨン100%

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第3位 カリフォルニアのピノノワールを手軽に体感できる!

カレラ セントラルコースト

カレラセントラルコースト
カレラセントラルコーストPN

セントラルコースト カリフォルニアのロマネコンティと称されるカレラの中でも手が届きやすいスタンダードな赤。カレラのエレガントなスタイルと洗練された味わいを手軽に感じられる。ボトリング時にはフィルターをかけずに無濾過、4つのカウンティから厳選されたぶどうをブレンドして造られる。カレラについてのコラムを参照下さい。「カリフォルニアのロマネコンティ

 

カレラ セントラル コースト ピノノワール

第4位 お手頃価格でナパの白ワインを体現!

シックスエイトナイン(689) ナパヴァレー ホワイト

ナパヴァレーAVA ナパのワインは需要が多く価格が高いのがネック。そんな中に生まれたのがシックスエイトナインセラーズで、驚きのコスパを実現したシャルドネ40%ソーヴィニヨンブラン35%の白。オレンジの花のような香りがネクターや柑橘系のアロマとともにひろがり、完熟した果実と引き締まった酸のバランスが見事。

689ホワイト
689ホワイト

第5位 専門誌が絶賛するカリフォルニアのピノノワール!

オーボンクリマ イザベル

オーボンクリマイザベラ
オーボンクリマ イザベル PN

カリフォルニアのピノノワールではカレラと並び称されるオーボンクリマの最上級のイザベル。ブルゴーニュの神様アンリジャイエイエに師事し、多大な影響を受け自身のワイナリーを設立。1989、1990年と連続してワインアドヴォケイト誌ノロバートパーカー氏から「ワイナリオブザワールド」に選出され一躍大スターの仲間入りを果たした。

第6位 コッポラが愛した魅惑的で優美な白ワイン

フランシスフォードコッポラ ディレクターズカット シャルドネ

ロシアンリヴァーヴァレーAVA 映画監督フランシスフォードコッポラが所有するワイナリーのシャルドネ。厳選されたぶどうから造り上げる白でロシアンヴァレーらしい豊かな果実のアロマに加え、甘いバニラのニュアンスと魅惑的な丸みを帯びた輪郭を備えた仕上がり。コッポラについてのコラムをご参照下さい「コッポラのワインラベルが美しすぎる

コッポラDCシャルドネ
コッポラ ディレクターズカット CD

第7位 ボルドーグランクリュを凌ぐ由緒ある銘醸ワイン!

オーパスワン

オーパスワン
オーパスワン

オークヴィルAVA カリフォルニアワインの父、ロバートモンダヴィとシャトームートンロートシルトのフィリップロスチャイルド男爵が生み出した歴史を大きく動かした銘酒。骨格がありながら繊細な舌触りや風味を持ち、滑らかさの中にある力強さを感じさせるスタイル。ヴィンテージにあまり左右されずに安定した品質で、ボルドーのグランヴァンを凌駕するほどの人気の赤。若いヴィンテージで飲むことが出来、くせがないので初心者から上級者まで満足のいく1本です。

第8位 全米売上No.1のヨーロピアンスタイルの赤!

ジョッシュセラーズ カベルネソーヴィニヨン

ジョッシュ
ジョッシュセラーズ CS

ノースコースト 圧倒的なコストパフォーマンスで売上全米No.1(10ドル以上のワイン2019年)となったアメリカでは超有名なワイナリーですが、日本ではそこまでの知名度はまだありません。ジョセフカー氏が自身の名のワイナリージョセフセラーズを2005年に創業し瞬く間に大成功を収め、米国市場を席捲しました。「カリフォルニア=重厚」ではないヨーロピアンスタイルが認められたのです。溢れるダークフルーツの凝縮したアロマ、シナモン、クローヴ、ほのかなオーク樽のニュアンス。口に含むとブラックチェリーやジューシーなブラックベリー、そこにバニラやトーストしたオークの心地よいアクセントが加わり、アフターにまろやかで緻密なタンニンとともに長い余韻が感じられます。

 

第9位 ナパヴァレーの手軽に楽しめるお値打ちワイン!

シックスエイトナイン(689) ナパヴァレ ーレッド

689
689ナパヴァレーレッド

ナパヴァレーAVA ナパのワインは需要が多く価格が高いのがネック。そんな中に生まれたのがシックスエイトナインセラーズでお値打ちワインです。ジンファンデル39%カベルネソーヴィニヨン28%でジューシーな赤系果実が広がり、ブラックチェリーやワイルドベリー、リコリスなどのニュアンスを持ちます。ソフトで甘いタンニンとセクシーなフィニッシュが特徴。3000円を切るナパワインは希少!

第10位 華やかでやや甘口の香り高い白ワイン

アイアンストーン オブセッションシンフォニー

オブセッションシンフォニー
オブセッション シンフォニー

シェラフットヒルズにあるアイアンストーンの白。シンフォニーはマスカット種とグルナッシュグリ種の交配によって生まれたアメリカ原産品種。華やかなマスカットや白桃の香りにぴりっとスパイシーな風味が特徴のやや甘口タイプの白ワインです。特に女性からの支持が多く優しい口当たりと果実味の香りが抜群!

アイアンストーン オブセッション シンフォニー

おわりに

今までカリフォルニアの赤ワインは総じて重めのワインを造る傾向にありましたが、近年は穏やかで上品・洗練されたイメージの味わいを持つワインが多くなって来たような気がします。また品質が向上してからまだ数十年、これから良質なヴィンテージワインが出回るのがとても楽しみです。オーパスワンやハーランなどフランスの伝統ワインを引きずり下ろす程の輝かしいワインのみならず、安価で安定した味わいのデイリーなワインがもっと出回ることを期待したいと思います。

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