【プロが解説】シャンパンとスパークリングワインの違いとおすすめ9選

お酒の仕事をしていると、お客様から「1500円くらいのシャンパンが欲しい」と尋ねられます。「このスパークリングワインはいかがですか?」「スパーク?いや欲しいのはシャンパンだよ」という事が多々あります。シャンパンの定義があまり浸透していないのでしょう。お客様には悪気はありません、ただ知識として覚えておいたほうが良いかと思いますので、シャンパンとスパークリングワインの違いを解説します。

スパークリングワインとは

スパークリングワイングラス

スパークリングワインとは発泡性ワインの総称です。つまりシャンパンもスパークリングワインの種類の1つという事になります。普通のワイン(スティルワインと言う)の液体の中に炭酸ガスが溶け込んでいるものです。アルコールの入っていない炭酸飲料も液体に炭酸ガスが溶け込んでいるのです。その溶け込ませ方(製法)の違いによって味わいや個性、価格の差が出てくるのです。

シャンパンとは

フランスのシャンパーニュ地方でシャンパーニュ方式で造られるスパークリングワインをシャンパン(シャンパーニュ)と名乗ることが出来ます。原産地呼称が守られている特別な存在です。フランスのワイン法でシャンパンを名乗るには様々な規定があり、それをパスしなければシャンパンと呼ぶことは出来ません。ラベルには必ずCHAMPAGNEの記載がされています。

ぶどう品種はシャルドネ、ピノムニエ、ピノノワールのみが指定されており、シャンパーニュ方式という瓶内での二次発酵(炭酸ガスが生成される)させる醸造技術と決められています。その他生産量の制限などの法的な決まりがあります。シャンパンには村ごとで造られるぶどうに格付けがされています。詳しくはシャンパンの格付けをご覧ください。

シャンパーニュ方式とは、17世紀にドンペリニヨンという僧侶が広めた(発見はサンエヴェルモンという酒商人)とされ、シャンパンがスパークリングワインの元祖だと言えるのです。以降に違う方法でスパークリングワインを造り上げる数々の方法が開発されていきました。

スパークリングワインの製法と味わいの違い

スパークリングワインの製法は色々な方法がありますが、大きく分けて3つの製法に分かれます。

カーボネーション(炭酸ガス注入)方式

出来上がったワインのタンクに炭酸ガスを注入して、液体の中に溶け込ませる方法です。溶け込ませた液体を瓶詰して出荷します。これは安価に出来るというメリットがあり、手軽にスパークリングを楽しむことが出来ます、その反面注ぐと泡はあまり持続しません。ジュースなどの炭酸飲料はこの方式で造られています。

シャルマ方式

大きなワインの入ったステンレスタンクの中にシロップを入れて、密封した状態で二次発酵させます。するとワインが二次発酵を始め炭酸ガスが発生します。そのガスが液体に溶け込んでいきスパークリングワインになります。

メリットは量産出来る事と密閉した状態が保てるので、華やかなアロマが残ります。マスカット種やリースリング種などを使って、香りが特徴のスパークリングワインを造る時に適しています。

シャンパーニュ方式(瓶内二次発酵製法)

出来上がったワインを瓶詰をし、瓶の中にシロップを加え栓をし、瓶内でじっくりと時間をかけて二次発酵させ、炭酸ガスを液体に溶け込ませます。伝統的な製法なのでトラディショナル製法とも呼びます。フランス・シャンパーニュ地方以外でもこのシャンパーニュ製法で造られるスパークリングワインがあります。

メリットは非常に繊細なガスがゆっくりと溶け込んでいくので、とてもキメ細かなで均一な大きさの泡が出来るのと、泡立ちが他と比べ長持ちします。大きさの揃った細かな泡を想像してみて下さい。口に液体を含んだ時に細かな泡の上を滑りながら飲む液体と、粒の揃っていない泡のものでは口当たりが異なります。「なめらかな口当たり」とよく表現されるのは、泡の粒に起因していることが多いのです。

ピンクのシャンパン

おすすめするスパークリングワイン

シャンパーニュ方式で造るスパークリング

シャンパンと名乗ることは出来ませんが、同じシャンパーニュ方式で造られるスパークリングワインがあります。その製法により泡立ちもシャンパンと遜色のないものも多く、シャンパンに比べて価格もお手頃です。代表的な2つをご紹介します。

*スペインのカバ

カバ(カヴァ)はスペインのカタルーニャ地方で造られる瓶内二次発酵のスパークリングワインです。シャンパンと比べ酸味は穏やかで同じBRUT(辛口)表記でもカバのほうが辛口です。シャンパンのブリュットが残糖15g/未満/Lに対し、カバのブリュットは12g未満/Lとなっています。シャンパンと同じくロゼも造られています。

カバのぶどう品種はその地のぶどうのマカベオ、シャレロ、パレリャーダが主で、シャルドネやピノノワールも認められています。魅力はとにかく安価なものが見つかることです。1000円台からあり、とてもリーズナブルなのが魅力です。

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*イタリアのフランチャコルタ

イタリアのロンバルディア州で造られている瓶内二次発酵のスパークリングワインです。ぶどう品種はピノビアンコやピノネロ、シャルドネなどが使われます。

高品質なものが多く生産量は非常に少ない為、カバ程安価なものはありませんが、ぶどう品種によってよりシャンパンに近い味わいです。日本料理にはシャンパンよりも相性が良いと評判する方も多く人気があります。

おすすめするシャンパン

シャンパンと一口に言っても二次発酵の度合いを調整し、発酵を途中で止めてその糖度の残量次第で辛口から甘口まで様々なものが造られています。普通のワインと比べ製造工程が多く、非常に手間と完成までの時間がかかります。

最近は氷を入れて美味しいシャンパンなども人気を博しています。各メーカー(シャンパンメーカーをメゾンと呼ぶことが多い)は繊細な味わいや泡立ちに個性を見出しています。

おわりに

スパークリングワインの需要は世界中で伸びています。またそれに伴い今回ご紹介した国以外でも、魅力あるスパークリングワインが造られています。魅力の一つとして、その泡立ち軽快さにあります。食事に合わせる場合でも、魚料理肉料理どちらでも料理を邪魔することはありません。赤ワイン白ワインで迷ったらスパークリングワイン!という選択もありですね!