皆さんが大好きなシャンパンの格付けの解説です。少し複雑ですが表にしてみました。シャンパーニュ地方はフランスの北東に位置し、アルザスより北にありフランスのぶどう栽培ではほぼ北限の場所にあります。コトーシャンプノアなどの赤ワインを造っていますが、そのほとんどはシャンパンの生産者です。主要な栽培地域は4つに分かれており5県にまたがっています。
シャンパーニュの格付けとは
シャンパーニュでは村の単位で区別されています。シャンパン自体に格付けがされているわけではなく、村で造られるぶどう自体に格付けがされていると言ったほうが解りやすいかも知れません。そのぶどうをどれだけ使っているかで、シャンパンの品質の差が見えてくると言ってよいでしょう。
シャンパーニュには319の村(=クリュ)があり、それぞれの村には80%から100%の格付けがされています。クリュと言えばブルゴーニュでは区画を意味し、ボルドーではシャトーのイメージですね。そのうち90%~99%の格付けの村がプルミエクリュとされ、100%の格付けをグランクリュとなります。17の村がグランクリュ、42の村がプルミエクリュと認定されています。
この%とはぶどうの取引価格の事で、毎年の村のぶどうの価格差となります。例えばある年のぶどう価格が100g100円と決められたらグランクリュは100%なので100円、85%の村は85円で取引されます。この相対的な評価は、栽培農家の季節変動に対する保護制度で生まれたようです。ただ現在はこの公定価格の制度は廃止されて自由な取引となっています。
取引価格の制度が無くなったとはいえ、その%の格付けは今も品質の評価基準とされているので、取引価格もグランクリュの畑の価格は他と比較して高額となっています。
主要栽培地域
- モンターニュ ド ランス・・ランスとエペルネにまたがる一番大きな地域です。石灰質の土壌で主にピノノワールの栽培を行っています。9つのグランクリュがあります。
- ヴァレドラマルヌ・・名の通りマルヌ川に沿った地域です。石灰質土壌から粘土質や砂質など様々な土壌が広がります。ピノムニエが多く栽培されています。2つのグランクリュを持ちます。
- コート デ ブラン・・エペルネから南に広がる丘陵斜面に広がる地域です。白亜の石灰質土壌でミネラル分が豊富なことによりシャルドネの栽培がメインです。6つのグランクリュがあります。
- コート デ ブラン・・他の地域から少し離れた南にあり、シャブリ地区の上に位置します。シャブリに似た土壌でありシャルドネも栽培されていますが、ピノノワールの栽培がおおいところです。
単一畑のシャンパン
村単位での格付けですが、ブルゴーニュのように単一畑のシャンパンも存在します。クリュッグのクロ・デ・メニルやドゥラモットのサロンなどはコートデブランのメニルの単一畑であり、エリックロデスのリュディはアンボネの単一畑のぶどうを使っています。ちなみにシャルドネ100%で造るシャンパンをブランドブランと呼び、ピノノワール100%で造るシャンパンをブランドノワールと呼びます。
ドンペリはグランクリュ?
モエエシャンドンのプレステージシャンパンといえばドンペリニヨンですが、グランクリュのぶどうのみで造られているわけではありません。ドンペリニヨンゆかりの地であるマルヌのオーヴィレール大修道院のぶどう(プルミエクリュ)を使っているからです。プルミエクリュは1%で残り99%はグランクリュとの説がありますが、正式には公表されていないようです。その他のメゾンのプレステージ級も同様、グランクリュメインが多いようですがプルミエクリュとの比率はまちまちのようです。正確にはボルドーのグランヴァン同様、その年のぶどうの出来により変わってくると推測されます。グランクリュ100%を使ったシャンパンはラベルにGRAND CRUと大きく書かれているのが一般的です。
おわりに
シャンパンはスティルワイン以上に造り上げる手間がかかります。瓶内二次発酵させる期間で繊細な泡を造り上げていったりドサージュ(糖度調整)で残糖量を調整するなど、各メゾンの個性と技がキラリと光るのがシャンパンです。ちなみに瓶内二次発酵で生まれる泡とシャルマ式(大きなタンクで二次発酵)では一つ一つの泡粒の大きさに違いがあるとされ、泡立ちの時間もシャンパンのほうが良いとされています。価格が高くなってしまうのも納得がいきますね。