近年、ワインはとても親しみやすい飲み物として展着してきました。立ち飲みバルで、ワイングラスではなくゴブレットで頂いたり、氷を浮かばせて飲んだりと、昔の気難しいイメージを刷新しています。
ただ大人に優雅なふるまいとして、ワインのマナーも身に付けておきたいものです。今回はソムリエがいるレストランを想定して、ワインマナーを順を追ってご紹介していきます。難しい事はありません、一読すれば好印象間違いなし!
アペリティフ(食前酒)
レストランに到着し、着席すると「お飲み物はいかがいたしましょうか?」とお店の方が聞いてくるでしょう。「さてどうしたものか?」一瞬考えてしまいます。これは歩いて来られ着席したあなたに、何か飲んで一息つきますか?とか、食事の前に何かアルコール(これをアペリティフと言います)を召し上がりますか?という意味です。ただこれはケースバイケースでしょうか。お連れの方が同時に入店とも限りません。上席の方や主賓の方を待つ場合もあります。考えられるアペリティフは・・・
- ジントニックやカンパリソーダ等・・・アルコールの低めのカクテルはアペリティフの定石です。
- シャンパン・スパークリング・・数名で1本をシェア。飲みきれずに食事までいってもOK。
- ビール・・・海外ではあまり見かけませんが、日本のレストランでは問題なし。ただし食事前でお腹が膨れてしまうかも。
- お水・・・問題はなし。但し有料の場合が多い。ガス入りガスなしを聞かれる場合がある。ガス入りとは炭酸水(ペリエとか)の事。
- たのまない・・・これも問題なし。
必ず頼まないと(オーダーをしないと)マナー違反・・なんていう事はありません。上席の方が到着する前に、アルコールを飲んでいるというのも控えたほうが良いと思います。「みんなが揃ってから考えます」とか臨機応変に対応しましょう。
料理を選ぶ
順番は料理を選んだ後に、ワインを選びます。主役はあくまでも料理ですので、その料理に相性の良いワイン選びをします。ただ、離れ業として給仕さんに「今日はカベルネソーヴィニヨンの重めのワインが飲みたいから、それに合う料理のおすすめはありますか?」と聞くのもありです。
ワインを選ぶ
ソムリエまたは給仕・料飲担当と一緒にワインを選んでいきます。基本は男性の作業ですが、招待をする立場、される立場などで変わってきます。ソムリエは料理の注文を理解しているので、おすすめして頂きますが、全てお任せでは味気ありません。ソムリエに選んでもらう要素を伝えて下さい。例えば、「渋みが弱いもの」「軽め、重め」など、思い描けるイメージで大丈夫です。銘柄を知らなくても気にしないで下さい。ワインの知識がないことは、恥ずかしい事ではありません。何も言わずに「まかせた」と丸投げするほうが、恥ずかしい事かも知れません。
ワインはおおよそ料理の半分程度の価格を注文すると、バランスが良いとされています。という事は、あなたがいるテーブルの料理合計が4人で6万円だと仮定したら、3万円程度が目安となります。アルコールを飲まれる方によりますが、平均して4人で2本でしょうか。メニューを見ながらソムリエと相談しますが、価格を声に出すのあまり良しとはしないので、メニューの価格を指さして「このような感じ」と伝えれば、ソムリエは理解し最良のものをおすすめしてくれるはずです。
料理の傾向がばらけていて、赤ワイン白ワインなど迷ってしまった場合、最初から最後までシャンパンで通すのもアリです。
ホスト テイスティング
もしあなたがホストなら(ホストクラブのホストではありませんよ)、ソムリエはワインを持参してラベルを見せます。注文したワインに間違いないかを確認してください。ソムリエはその場でワインを抜栓するか、裏で抜栓してきます。ホストには抜栓したコルクを見せます。コルクはカビが付着している場合がありますが、コルクに付くカビは無害とされています。適正な湿度で管理をしている場合は、多く見られます。コルクを嗅ぐ人がいますが、あまり意味はありません。若いワインは良い香りがしますが、古いワインはあまり良い香りはしません。
ホストのグラスにワインが少し注がれます。これは、そのワインが痛んでいないかのチェックです。少し口に含み、色味や香り、味を確認して下さい。ダメなワインはあまりワインを飲まれていなくても、たぶん分かると思います。腐臭がしたり、妙に酸っぱくなっていたりします。「あれ?」と思ったらソムリエに声をかけて下さい。間違っていけないのは、ワインが健全な味であるか否かを見るテイスティングです。自分の好みではない、想像と違ったので変えて欲しい、というチェックではありません。「好みではないので変えて下さい」と言った場合、変えてくれると思いますが・・たぶんそのワインも会計に含まれていると思います。
ワインを注ぐ
ワインを注ぐ役目は、ソムリエまたはレストランの料飲担当です。ホストテイスティングが終わった後、女性客から順番に注がれます。女性が複数いたら、年配の方が先に!(ソムリエが判断)。お客様が自ら注ぐことはありません。
注がれる際には、決してグラスを持ち上げてはいけません。テーブルに置いたままです。たまに、良かれと思ってグラスを持ち上げ差し出す方がいますが、これはNGです。注ぐ際に安定が悪く、こぼしてしまうかも知れません。
注がれる量は、グラスの大きさにもよります。グラスを良く観察すると、液面が最大のラインがあります。そのラインの少し下が一番バランスが良い適量だと考えて下さい。おおよそグラスの1/4程度が目安です。他のお酒のようにたっぷり注ぎません(グラスに8割とか)。何故ならワイングラスはステム(脚)が付いており、重さのバランスを崩してしまうからです。
乾杯!ワインを飲む
乾杯はグラスをチン!と当てることはしません。ワイングラスのボウルはとても薄いので、割れる恐れがあります。グラスを挙げて「乾杯!」と発する程度にしましょう。
ワイングラスの持ち方は、ステム(脚)を持ちます。これは体温がワインに影響しない様にです。ボウル(グラス部分)を持つことはしません。ブランデーグラスのようにステムを指で挟み、下からボウルを包むこともしません。
過度のスワリング(グラスをクルクル回す)は、あまり良い印象は持たれません。洗濯機のように全力で渦巻きを作る方がおりますが、こぼれ出る可能性があります。する際には右手では時計回りと反対に、左手では時計回りで行います。そうするともしこぼれても、他の方を汚す確率は低くなります。グラスはテーブルに置いたままでするのが、安定感がありおすすめです。
グラスに口紅がついたら、さりげなく指でふき取り、それをナプキンで拭いましょう。ナプキンでいきなりグラスを拭くのはいけません。
ワインをおかわり
ワインが少なくなり、おかわりしたい場合でも、自分からボトルを持ち注ぐことはしません。また相手に注いであげることもしません。ソムリエまたは給仕にさりげなく信号を送って、注いでもらいます。注ぎ合いや女性にお酌するように促す行為は厳禁です。
こちらからの合図ではなく、ソムリエが少なくなったワインを注ぎに来る場合があります。断る際には、グラスの上に手で軽く蓋をするような仕草をし、小声で「結構です」の合図をします。
TPOに合わせて
と・・ここまではソムリエがいるレストランを想定したのマナーですが、状況により変わって来ます。例えば、ソムリエや給仕が居ない場合、ワインを注ぐのはお客様がします。ただその際にも、注ぎ方などは基本と変わりません。パーティーなどでは、どの程度の格式などにもよります。海外の映画や風景を観ていると、ワイングラスのステムを持たずにボウルを持ってワインを飲んでいたりもします。一緒に飲む方とのお付き合い度合いとか、TPOに合わせて崩すのもアリでしょう。
ただ、イザという時の基本のマナーはワインに限らず、身に付けて置くのがスタイリッシュな大人の証だと思います!