白ワイン用ぶどうの絶対王者であるシャルドネの人気に、近年少しづつ迫って来ているのがソーヴィニヨンブランです。そもそもソーヴィニヨンブランはボルドーの白ワインで多く使われている品種でしたが、正直ボルドーではそれ程パッとした印象はありません。ボルドーの生産者が赤ワインだけでなく白も造りたいとソーヴィヨンブランかセミヨンを使って少量生産する白ワインがある程度でしょうか。もちろんシャルドネを使えばAOCボルドーを名乗れず、形式的にランクを下げなければならないという事情もある事でしょう。
個人的にはその原産地呼称の考え方は既に崩壊していると思っています。呼称を守るという意味ではもちろん大切ですが、ランク付けとなると難しい面も出て来そうです。以前にもブログに書いたスーパータスカン(トスカーナ)なども上記ランクのDOPではなく下位ランクのIGPです。これは原産地呼称でイタリアではカベルネソーヴィニヨンを使ったら原産地呼称ワインに出来ませんよ~というワイン法があるからで、ボルドーも同じくシャルドネを使ったらランク下げます!という事なのです。
そもそも原産地呼称AOPとかDOPとかを格付けと言ってしまうのが間違いであり、世界のぶどう造りがこれだけワールドワイドになれば格付けの意味がわかりません。その国のオリジンのぶどう品種を守るという意味では、原産地呼称というレッテルはアリなのかも知れませんが、最早チリやオーストラリア、南アフリカなどをサードワールドと呼ぶのには失礼な程の超実力のあるワインがどんどん生まれています。
ソーヴィニヨンブランに話を戻して、ニュージーランドのソーヴィニヨンブランが人気を博し始めてまだ数年です。絶対王者のシャルドネと何が違うのか・・一言で言ってしまえば(一言は難しい)爽やかさです。フレッシュでハーブのニュアンスやミネラル感、さらりとした口当たりと上品さが現在のテイストにマッチしてるのだと思います。シャルドネは地域によって変幻自在に味わいを変えます。
例えばシャブリではやや鋭さを持った酸味が特徴であり、オーストラリアなどの温暖な地域ではトロピカルな熟れた果実を連想させ、酸味は隠れます。シャルドネ君はどこの国へ行っても上手く仕事をしてくれているのです。ソーヴィニヨンブランはなかなかそうは行かなかったのか、生産者が挑戦しなかったのか、あまり多くはありません。が・・・・紹介するMATUA(マトゥア)はやってくれました。
1969年にニュージーランド初のソーヴィニヨンブランを植林し、1974年に最初のソーヴィニヨンブランを発売しました。当初からそれ程の人気があったわけではありません。そもそもニュージーランドのワイン自体が世界的に認められているわけではなかったのですから。今では世界のコンペティションで多くの賞を受賞し一躍有名になったのは2012年以降でしょうか。今では「美味しいソーヴィニヨンの産地は?」と問われたら、「ニュージーのマルボロかホークスベイあたりかな~」とプロは口を揃えて言うことでしょう。ニュージーランド最初のソーヴィニヨンブランを是非試して見てください。ラベルのデザインも味わいを表現するかのような美しいものです。