近未来的な建築物に興味をそそられます。この数十年の間に物凄い勢いで生活にまつわる物質やソフトウエアなど、多くの人が追い付いていない程進化をし続けているのは、お判りだろう。1982年公開の「ブレードランナー」や1985年公開の「未来世紀ブラジル」などの映画でも描かれている未来の建築物は、現実化されうるのかなどとわくわくして観た経験があります。近未来を創造させてくれる現実的建築物を具現しているノーマンフォスターとザハハディッドをおさらいしてみたいと思います。
ノーマンフォスターとは
彼を一躍有名にしたのは1985年に建築された香港にある香港上海バンクビルです。鋼鉄のフレーム構造とガラスを多用し、当時の最先端技術を用いた傑作とされ世界から注目を集めました。今の香港のビル群の中ではそれほど高いビルではありませんが、カオルーン側から香港島を眺めた時に、とても目立つ梯子のようなスティールのものなので、見たことがある方も多いと思います。近代化ビルでさらに世界を驚かせたロンドンのロイズバンクビルを手掛けたリチャードロジャースとは当時チームを組んでいました。
香港上海バンクもロイズバンクも非常にに似たような構造であるのも頷けます。他に有名なものとしてはロンドン市庁舎や、最近ではアップルの本社を含むアップルパークなどがあります。また、日本にも彼のデザインした建築が数点あります。
ザハハディッドとは
彼女を日本で一躍有名にしたのは新国立競技場のデザインでしょう。
脱構築主義を掲げ今まで当たり前の構築技法にとらわれない自由な発想でデザインを起こし、世界中で奇抜な近未来型建造物を作り上げています。
もちろん最先端技術で担保されたデザインでしょうが、デザインを起こして実際に完成したものが少ないゆえ「アンビルド(建てられない)の女王」などと揶揄されてもいました。新国立競技場のデザインからもわかるように宇宙船をイメージしたかの流整形などを多用するものが多い気がします。個人的にはあのデザインの建築物を建てて欲しかったと思っています。実際に見たかった!あれはデザインコンペゆえ建築費などの積算前の段階だったとか経緯は色々ありますが、世論がオリンピックという皆が関心を持つ時期だったのが不幸だったのではという気がします。パリのエッフェル塔を建造する際に、当時のパリ市民はひどく反対したそうです。
石組の伝統ある街並みに鉄骨むき出しのものを作るとはけしからん・・と聞いたことがあります。もし完成されていれば、何年か後に時代が追いついていたのかも知れません。
引用:ZAHA-HADID.COM
ノーマンフォスターのセンチュリータワー
彼の日本での建築で一番大きなものは、お茶の水にあるセンチュリータワーです。
当時私はこの建築プロジェクトに施主側として参加していました。施工を担当する大林組とフォスターのチームとのパイプ役です。日本の鳥居をイメージしたデザインはフォスターらしさを感じるものですが、当時の日本の建築基準があまりにも多くの制限があり、控えめな外装となっています。ビルの中はセンター部分は天井まで吹き抜けになっており、メザニンフロアというユニークな階層で出来ています。1階から見上げると壁もなく各フロアが見渡せるものですが防火管理の観点から許可を取るのに大変な努力を関わるスタッフは苦労しました。
フォスター自身は建築中数度の来日でしたが、常駐するアソシエイトたちのスマートな仕事の進め方や大林組のスタッフ達の熱意は物凄く、建築の持つ意義や完成までのエネルギーの膨大さに驚いたものです。
都市のグランドデザインは今後どう進化していくのか、または既存の建築物とどう融合していくのか・・建築が好きな一人として近未来が楽しみです。