【至高のシャンパーニュ】 アルマンド ブリニャックの種類と魅力

皆さんはアルマンド ブリニャック(ARMAND DE BRIGNAC、通称アルマンド)をご存じだろうか？近年セレブのパーティやミュージックビデオなどに登場しているメタルカラーのゴージャスなシャンパンです。クローバーにAの文字のラベルと美しいボトルは、一度見たら忘れない強烈な存在感を発揮しています。

アルマンド ブリニャックとは

注目のきっかけ

アルマンド ブリニャックのブランド設立は1996年でシャンパーニュとしては新しいブランドです。名門であるキャティア家がこのブランドを立ち上げました。世界にこのシャンパンが送り出されたのが2006年です。アメリカの有名ラッパーである「ジェイZ」が彼のミュージックビデオShow Me What You Gotに登場（一瞬です）させ、一躍世界の注目の的になりました。ジェイZとはグラミー賞を21回も受賞している超大物ミュージシャンで、ビヨンセの夫としても有名であり、桁違いの資産家です。

また世界で唯一のシャンパーニュの専門誌である「シャンパーニュマガジン」が主催するワインコンペ「100 BEST CHAMPAGNE FOR 2010」で、ランキング1位に輝きました。歴史ある一流ブランドを抑えてこの新しいブランドが世界でトップに立ったことで業界のみならず、世界で注目の的になったのです。

ラッパーであるジェイＺはこのシャンパンを気に入り、なんと2014年にこのブランドを買収しました。以降ビヨンセ・ディカプリオ・ウィルスミス・トムクルーズなどの一流セレブが愛飲するようになり、シャンパーニュ業界で一躍スーパースターに上り詰めました。

ボトルとラベルの美しさ

ボトルは美しいメタルコーティングがなされ、ピューター（錫製）のラベルが付けられています。これはフランスのコニャック地方の装飾職人が一つずつ手作りで制作されています。ボトル磨きからラベル張りまで僅か18人の熟練した職人のみが手作業で行っており、一人1時間で20本しか仕上げることが出来ないそうです。ボトルの美しさを保つために、繊細な作業と手間がかけられているのです。

造りの特徴

アルマンド ブリニャックはマルチヴィンテージといって2～3種類の年代のぶどうをブレンドしています。キュヴェプレスの一番搾りのみを使って造られます。ぶどうはピノノワール・シャルドネ・ピノムニエで、グランクリュ（特級）またはプルミエクリュ（一級）の畑のぶどうのみを使います。熟成はシャンパーニュで最も深いとされる地下30ｍの蔵で寝かせています。エレガントで精緻な味わいを求める為に、単一ヴィンテージよりもマルチヴィンテージを採用しているのです。

アルマンド ブリニャック誕生の経緯

シャンパーニュのモンターニュドランス地区のシニー・レ・ロズ村に1763年にキャティア家が独立したメゾンとして創業しました。現在でもイギリスの名門ホテル「リッツ」のハウスシャンパンや、フレンチレストランの「マキシムドパリ」のプライベートシャンパンに起用されるなど名門シャンパンメーカーとして世界中に多くのファンがいます。

キャティアがアルマンド ブリニャックブランドを造るきっかけとなったのは、1980年の終わりころです。フランスのアパレルブランドである「アンドレ・クレージュ・Courreges」のファッションイベント用にクレージュがキャティア家に別注したシャンパンです。そのシャンパンを大切に育て上げる為に、長年の試行錯誤を重ね「伝統と革新の融合」として完成させたのがこのアルマンド ブリニャックです。

以降、前述の通り2014年にこのブランドをジェイＺが買収しました。また2021年2月にはクリュッグ・ドンペリニヨン・ヴーヴクリコなどのブランドを持つモエヘネシー社がアルマンド ブリニャック株の50％をジェイＺから取得したこのが話題となりました.

アルマンドブリニャックの種類

ボトルのサイズは通常の750mlに加え、1500mlマグナムサイズは当然ながらシャンパンのボトルサイズでは最大の30000mlメルキゼデック（通称ミダス）のサイズバリエーションまで造られています。ちなみにミダスサイズの価格は1000万円程だそう。種類は以下の6アイテムが基本ですが、限定ボトルなども発表されています。

• ブリュットゴールド・・・2006年初リリース。ピノノワール40％、シャルドネ40％、ピノムニエ20％、ドサージュが9.5g/L、フレンチオーク樽12カ月熟成。
• ロゼ・・・2008年リリース。ピノノワール50％、シャルドネ10％、ピノムニエ40％、ドサージュが8.5g/L、フレンチオーク樽12カ月熟成。
• ブランドブラン・・・2008年リリース。シャルドネ100％、ドサージュ8g/L,フレンチオーク樽12カ月熟成。
• ブランドノワール・・・2015年リリーズ。ピノノワール100％、生産量は年間3535本のみで1本1本ナンバリングがあり、デゴルジュマン（ボトルの中の澱を取る）の日付入りで、750mlボトルのみ造られる。
• ドゥミセック・・・2015年リリース。ピノノワール40％、シャルドネ40＄％、ピノムニエ20％、ドサージュが33g/Lと甘口タイプ、ロゼより色が濃いピンクのボトル。
• ブリュット グリーン ゴルファーズ エディション・・・ぶどう比率はゴールドと同じだが、ドサージュが9g/L。毎年このボトルの製造番号1番は、マスターズゴルフトーナメント優勝者に贈られる。松山選手は贈られたかな。

おわりに

妖艶な色味を持つボトルデザインは一見外見だけのチープなものと想像しがちですが、このアルマンドは別格です。手造りにこだわり、味わいに細心の注意を注ぎ、ラベルに魂を込める、まさしく才色兼備の完成された次世代のシャンパンである事は間違いありません。艶やかな世界でもてはやされていますが、キャティアが造り出した創造性と先見の才能は地道な努力の結果だと想像します。普通に飲まずに、シャンパンで遊んでいるような映像を見たりすると悲しくなってしまいます。