【ヴィーニョヴェルデ】はポルトガルの微発泡性の白ワインです。アルコール度数も低く、ワインが苦手な方へもおすすめ出来るとっておきのワインです!ここでは【ヴィーニョヴェルデ】の美味しさやおすすめのポイント、またどんな料理に合うのかなど、シニアソムリエの私が徹底解説いたします
ヴィーニョヴェルデとは
ヴィーニョヴェルデとは、クリーンで清涼感を感じる気取らない味わいのワイン!微発泡でアルコール度数も概ね11%以下ととても飲みやすく、日本でも近年急激に人気を得ている注目のワインです。微発泡性の白ワインが有名で「ヴィーニョヴェルデ=ヴィーニョヴェルデ地区で造る微発泡白ワイン」という認識が世界基準となっています。
Vinho Verde=直訳すると緑のワインという意味です。白やロゼ、オレンジなどワインの色を指してるわけではないので、緑色をしたワインではありません。緑にはに未熟なという意味もありここでは完熟したぶどうではなく、若い(=青い)という意味合いで使われています。
「え!これって白ワイン?何だか爽やかでいいね」と感じるはずです!
ヴィーニョヴェルデの特徴
美味しさの秘密
ヴィーニョヴェルデの美味しさの秘密は、収穫・出荷時期と瓶詰めのタイミングにあります。一般的にぶどうの収穫は9月頃に行いますが、ヴィーニョヴェルデは7月のまだ完熟していないぶどうのまま収穫をします。ここが緑のワインの名の言われとなっています。
7月にぶどうを収穫し、早い生産者は夏の終わり頃には出荷を始めます。瓶内に発生した炭酸ガスが抜ききれないまま瓶詰をするので、微炭酸となるのです。その年に出来たぶどうを年内に出荷するのはフランスのボジョレーヌーヴォーのようですが、すべてのヴィーニョヴェルデがそうとは限りません。
世界へ進出
ヴィーニョヴェルデは、もともとはポルトガル国内でのみ消費されていましたが、2004年にヴィーニョヴェルデ委員会が海外へのプロモーションを始め世界的に広まりました。日本に登場するのは、2005年の愛知万博のポルトガルブースで出されたのが始まりとされています。
ここ数年日本でも認知され始め、今では生産量の50%近くを世界100か国以上に輸出するまでになっています。
見直されている白ワイン
赤ワインは渋みがあり、白ワインに比べアルコール度数も高めです。健康志向も相まって低アルコールの白ワインを飲まれる方が多くなって来たのも一因です。
なぜ白ワインが見直されているのか・・・ワインの消費量は増え続けています。ワイン=赤ワインというイメージが徐々に払拭され、白ワインは赤ワインよりも敷居が低く感じられるようになりました。またフルーティーな缶チューハイが人気であり、その延長線にある本格的な白ワインを気軽に楽しむ習慣が増えたと推測されます。
白ワインが人気を集めたきっかけ?・・・10年程前に登場したニュージーランドのソーヴィニヨンブランの爽やかさがブームになりました。それまではシャブリのような鋭い酸味が苦手な人も、軽やかで清涼感があり酸味も穏やかな白ワインに注目し始めたのです。
このヴィーニョヴェルデも日本でもっと人気を得る事は間違いないでしょう。
ヴィーニョヴェルデの品種と産地
ヴィーニョヴェルデに使われるぶどう品種は、以下の6種類の白ぶどうです。
- アリント
- アルバリーニョ
- アザール
- トラジャドゥーラ
- ロウレロ
- アヴェス
中でも、アルバリーニョの品質が高く世界的に高い評価を得ています。
スペイン国境に近い西北部のミーニョ地方で造られます。ミーニョ川流域の高低差がぶどうにとって最適な温度差を生み、良質なワインの産地となっています。ポルトガルのワイン法によりDOC(DOP)ヴィーニョヴェルデのランクに位置します。
ヴィーニョヴェルデの種類
実は赤ワインやロゼワインも少量造られていますが、一般的にヴィーニョヴェルデといえば微発泡性白ワインを指します。
ワイナリー(メーカー)も古くから数多く存在し、ぶどう品種や炭酸の強さやアルコール度数など微妙なバランスを保ち様々なワインが造られています。発泡性にしないものや、後から炭酸ガスを溶け込ませたものなど様々なバリエーションが生まれています。
ヴィーニョヴェルデの飲み頃は?
ヴィーニョヴェルデは、味わいの観点から春から夏にかけての季節が最高です。
ヴィーニョヴェルデは早摘みをし年内に出荷するところもあり、フランスのボジョレーヌーヴォーのようなワインですが、もっと手間と時間ををかけて造るワイナリーもある為、ヌーヴォー(=新しい)ではありません。
ただヌーヴォーのように新鮮さが特徴の為早めに飲まれる事をおすすめします。普通のワインのようにセラーで寝かせることはせず、入手してから2か月以内が良いでしょう。あまり長く保管していると微発泡が飛んでしまいます。
ヴィーニョヴェルデのおすすめの飲み方と注意点
飲む3時間前には冷蔵庫へ入れて6度くらいにしましょう。飲む時点で8度から10度になる計算です。もし時間がなく冷えていなければ冷凍庫に入れる荒業もありますが、長時間入れないで下さい。アルコールが低いので凍ってしまう恐れがあるからです。
ワイングラスを使わなくても大丈夫!気取らずにゴブレットやタンブラーなどでOKです。アルコールの弱い方は氷を浮かべても美味しく飲むことが出来ます。暖かい日差しの中で冷えたワインは最高です!
ビール感覚で飲めるという記事を見かけますが、微発泡の口当たりの事を指しているのだと思います。ビールの2倍のアルコール度数があるので、決してビールのようにゴクゴク飲む事はしないで下さい!
ヴィーニョヴェルデと合う料理
シャブリのような鋭角の酸味を持たなく完熟したぶどうの酸味でもない絶妙な酸味と微発泡によって、相性の良い料理は幅はとても広くなります。アルコール度数も低めなので食中はもちろんアペリティフ感覚でも楽しめます。
洋食
魚料理はもちろんサラダ料理、とくにシュリンプサラダやオリーブオイルを使った軽めの料理等の相性は抜群です。パエリアや軽めのスパゲッティ・フリッターなどの揚げ物・ラタトゥイユも微発泡のおかげで美味しく頂けます。
また果物やデザート系のコンポートなどは絶妙の相性を見せてくれます。ソースの強い肉料理や煮魚などはこの繊細なワインには合いません。
和食
このワインは特に和食との相性は抜群です。鮨や刺身料理、天ぷらなのど繊細な味わいにも邪魔はしません。カツオのたたきや豚しゃぶ、レモンや塩をかけて頂く料理などがおすすめです。味の濃いすき焼きなどには味が負けてしまいます。
おすすめのヴィーニョヴェルデはこれ!
微発泡と爽やかな酸味の味わい・エンコスタス デ カイズ
私の一押しのヴィーニョヴェルデです!エンコスタス デ カイズ ヴィーニョヴェルデは、微発泡と爽やかな酸味の味わいのワインです。シトラスを想わせる繊細なアロマを感じ、いきいきとした酸に心地よい微発泡を伴い爽やかでフレッシュな感覚です。癖がないためワイン初心者にもおすすめ。後味には、わずかに青りんごの甘さも感じられ、ラベルの美しさと相まって上品な口当たりです。品質管理も徹底したレベルの高い生産者のワインです。
エンコスタス デ カイズ /ヴィーニョヴェルデ 1,280円
- 味:辛口白/微発泡
- アルコール度数:12度
- 品種:アヴェッソ・ロウレイロ・トラジャドゥーラ・アザール
- ワイナリー:キンタス デ カイズ
軽快な口当たりと柑橘系の香りが心地良い・ヴェルコープ
レモンやライムなどの味わいに軽快な泡やミネラル感が特徴で、エレガントなフローラルの香りが特徴です。ヴェルコープ ヴィーニョヴェルデは1964年に7つの共同組合と、5000を超える生産者を束ねた一大共同組合としてスタートしました。ミーニョでの生産量が最大のメーカーです。エチケット(ワインのラベル)に派手なニワトリが描かれていますが、ポルトガルで雄の鶏はガロと呼ばれ、奇跡と幸せを呼ぶとされています。
ヴェルコープ / ヴィーニョ ヴェルデ ヴェルデ 980円
- 味:辛口白/微発泡
- アルコール度数:11度
- 品種:ロウレイロ・アリント・トラジャドゥーラ
- ワイナリー:ヴェルコープ
世界で一番売れている・カザルガルシア
カザルガルシアは世界で一番売れているヴィーニョヴェルデで有名なメーカーです。ぶどうの品質保持の為低温プレスを行い、低温管理されています。ライムジュースのような淡いグリーンを帯びたクリアな色調で、青りんごやグレープフルーツを想わせるフルーティーな香り。爽やかな微発泡が果実味を軽やかにしています。
カザルガルシア /ヴィーニョヴァルデ 1,240円
- 味:辛口白/微発泡
- アルコール度数:10度
- 品種:アリント・ロウレイロ・トラジャドゥーラ
- ワイナリー:カザルガルシア
SAKURAアワード金賞受賞・プルマ
2019年のSAKURAアワードで金賞を受賞し、女性からの支持も多いワインです。美しく輝く淡い色で、柑橘系果実の爽やかな香りはみんなに愛される優しさを感じるワインです。醸造担当のディエゴ・セプルベタ氏はポルトガルで最も有望な醸造家として有名であり、やさしい風に運ばれてきた羽根のようなデザインはワインのイメージとぴったりです。
プルマ/ヴィーニョヴェルデ
- 味:辛口白/微発泡
- アルコール度数:11.5度
- 品種:トラジャドゥーラ・ロウレイロ・アリント
- ワイナリー:カーサ デ ヴィラヴェルデ
おわりに
ヴィーニョヴェルデは、庶民的なワインで大手スーパーなどでも手軽に購入できますが、一方で高級化も進んでいます。単一品種のみで造ったり樽熟成を試みたりで、いつかはヴィンテージものも出現するかもしれません。 最近赤ワインは豊潤で濃厚なワインが好まれ、逆に白ワインは繊細でフルーティーなワインが好まれる傾向にあるのは世界共通のようです。地元でしか飲まれていなかったこのヴィーニョヴェルデも、ソーヴィニヨンブランのようにますます人気を博して行くことは間違いありません。 ポルトガルワインのイメージはポートワインやマディラワインでしたが、今はれっきとした有名ワイン産地に踊り出ています。この「緑のワイン」もシャブリのように当たり前のように皆が知る有名な白ワインになる日は近いでしょう。