【注目のワイン】 オーガニックワインとは その特徴と種類につて

最近オーガニックと言う言葉を良く聞きます。ワインに限らず食品全般やオーガニックコットンなどオーガニックの言葉は色々なところで使われています。ワインでもオーガニックワインという名称が話題になって数年ですが、果たしてどのようなものでしょうか。

オーガニックワイン・有機ワインとは

自然派ワイン

オーガニックワインとは有機栽培したぶどうから造るワインです。自然派ワイン(ヴァンナチュール)という大きな分類の中の一つです。自然派ワインとは、自然の力を借りてぶどうを栽培して造るワインの総称です。自然の力とは、極力化学合成された肥料などを使わず、自然酵母で発酵などという意味になります。

農法による分け方

オーガニックワイン(ビオワイン、有機ワインとも呼ばれる)

ビオロジック農法

農薬や化学肥料・除草剤を一切使用せず、鶏糞や牛・羊糞などを肥料に用いた有機栽培をいいます。但し限定的にボルドー液(硫酸銅と生石灰を混ぜて作る農薬)と石灰硫黄合剤の使用は認められています。酸化防止剤(亜硫酸塩)に使用は少量(一般の1/3程度、認証機関により異なる)

ビオデナミ農法

バイオダイナミック=生体力学農法とも呼ばれます。ビオロジック農法に加え、月や星の位置を調べその動きに合わせた栽培方法を取る農法です。オーストリアのルドルフ・シュタイナーの理論を基に研究されました。

低農薬ワイン

リュットレゾネ

減農薬栽培によるぶどうで造るワインの事で、規定はありません。自主的な判断により農薬を減らしてる農法です。そもそも農薬に頼ることなく無農薬での栽培をしているが、場合によって必要最低限の使用をするなど様々なケースがあります。リュットレゾネとはフランス語で「合理的対応」という意味で、自然環境を維持し、土地に最大限配慮する農法の考え方です。

ヴィーガンワイン

ヴィーガンとは「絶対菜食主義」と言い、肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品を一切摂取しない事をいいます。ベジタリアンは肉以外は摂取するので、より完全主義だと言えます。ワインと動物性由来の物質の接点は、製造段階で使う清澄剤です。清澄剤とは濁った果汁を手早く澄んだものにする材料です。これは動物性たんぱく質由来のゼラチン・卵白などです。

この動物性由来の清澄剤ではなく、ベントナイト(粘土鉱物)や珪藻土といった鉱物由来の清澄剤を使う事により全ての製造工程から動物性由来の物質が排除され、ヴィーガンワインとして認定されます。鉱物性由来の清澄剤はヴィーガンの為だけではなく、一般のワイン造りでも使い始めています。

土の写真

オーガニックワインとヴィーガンワインの違い

オーガニックワインは、化学肥料など化学的に合成されたものを最大限使用しないワインであり、有機質に着眼を置きますが、ヴィーガンワインは動物性由来物質の排除に着眼したものです。ヴィーガンワインにとっては化学肥料などを排除するものではありません。植物由来の肥料などを使いオーガニックでありヴィーガンでもあるワインは存在します。

オーガニックワインの認証マーク

ワインに限りませんがオーガニック食品類に対してオーガニックであるとの認証をする機関があります。各認証機関の基準をクリアすると認証マークを商品に記載することが出来、消費者が判断する上で有効な表示となります。以下は代表的な認証機関になります。

オーガニック認証マーク
  • 日本有機JAS規格・・・JAS法に基づき有機農産物と有機農産物加工品のJAS規格をクリアした食品に対して付けられるマークです。「有機」「オーガニック」の表示はこのマークなしでは明記することは出来ません。但し日本では「ビオ」の表記は対象外なのでオーガニックでなくても「ビオワイン」とは記載が可能です。
  • AB認証・・・Agriculture Biologique フランス政府の有機栽培基準の制定機関の認証。
  • エコサール認証・・・フランス農務省が1991年に設立したオーガニック認定機関。世界最大で80か国で使われている。
  • デメター(デメテール)認証・・・ドイツのオーガニック認証機関で、ビオデナミ最大の認証機関。
  • ユーロリーフ認証・・・EU・欧州委員会が定めた基準で加盟各国で認証されたオーガニックに対して使う共通ロ度ゴ。

オーガニック認証の難しいところ

そもそもぶどうは農薬ありきで栽培するものではありません。その年の気候や害虫の多さなどによるものです。健全な気候や環境下では使う必要もないものです。かつて一度も農薬を使用せずにワイン造りをしているメーカーもたくさん存在します。オーガニックワインと名乗らなくてもそのメーカーは、オーガニックワインを造り続けているのです。つまりたとえ認証を受けない(オーガニック認証マークがなくても)ワインでも、オーガニックワインと呼べるワインはたくさん存在します。

オーガニックワインの味わい 長所と短所

オーガニックワインの出始めた2000年初めの頃の味わいは、お世辞にも美味しいとは言えませんでした。果実味に欠け生き生きさが無くぼやけた味わいのものが多く出回っていたのです。「ビオ臭」と呼ばれるオーガニック独特のクセを持つ香り(還元臭)があり、動物のような香りや硫黄の香りなどと表現されました。

現在では技術が数段に向上してきて、昔のような香りを持つワインはほとんど見られなくなって来たようですが、完全とは言えません。オーガニックワイン独特のクセが多かれ少なかれあるのは事実のようです。

オーガニックワインの長所

残留農薬を心配することのないワインが楽しめるというのが一番でしょう。またぶどうの状態や醸造技術などがダイレクトに反映された本来の農産物としてのワインが楽しめます。また環境にやさしいという点も大きいのです。

オーガニックワインの短所

オーガニックワイン独特の香りを持つワインが存在することです。もちろん全てのメーカーの商品ではありません。オーガニックワインと気が付かないほうが多いかも知れません。また農薬を使わないという事はぶどうの生育は天候に大きく左右されてしまいます。その分手間がかかったり生産量にも影響するため、コスト高になり通常のワインよりも少し高くなってしまう傾向があります。

ぶどう畑

酸化防止剤について

ラベルの表記に「酸化防止剤」というのがあります。これは二酸化硫黄と呼ばれるもので「亜硫酸塩」と記載されます。この役目は「殺菌効果」と「酸化防止」です。殺菌効果はワインの中の残った酵母やバクテリアの繁殖を防ぎます。酸化防止はアルコールが酸化する前に、二酸化硫黄がアルコールよりも先に酸素と結びつきワインの酸化を防いでくれます。

実はこの亜硫酸塩は、ワイン造りの段階で酵母が発酵中に自ら亜硫酸塩を生成しています。つまり自然由来の亜硫酸塩が添加しなくても含有されているという事になります。国産ワインでよく見かける「酸化防止剤無添加ワイン」という表記は「無添加」であって「入っていない」という事ではないのです。

ワインを飲んで体に入る亜硫酸塩は極微量であり、長年日常的にワインを飲んでも健康に害を及ぼすことが無いように含有量は決められています。雑菌が繁殖したり商品劣化につながるリスクを考えると亜硫酸塩の存在は必要なものなのです。オーガニックワインの認定でも決められた亜硫酸塩の微量の添加は認められています。

おわりに

戦後復興の為に、ぶどうのみならず野菜の栽培には多量の化学肥料が使われていました。大量の化学肥料を使うとぶどうは地中深く根を張らないようになってしまうそうです。その為毎年使うことになる、まさしく負の連鎖です。持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みに連動するように、環境や健康維持の概念はワイン造りにも注がれています。これからますますオーガニックに対する関心は間違いなく高まってくることでしょう。

ENOTECA Online(ワイン通販 エノテカ・オンライン)