【一目で解る】 イタリアワインの格付けピラミッド

イタリアワインの格付けは、その原産地を呼称する上で決められたルールに基づきランク付けがされています。フランス同様、イタリアにも独自のワイン法が古くからありその地のワインを名乗る為には厳しい法律が存在するのです。

イタリア料理は日本でも当たり前のように食されて日本人の味覚にもマッチしていて美味しいですね!料理との相性を考えるのならイタリアワインは、日本人にとってフランスワイン以上に受け入れやすい存在だと思います。南北に伸びた国だからこそ色々な個性あるワインが多く存在するのです。

原産地呼称別ランク

イタリアもフランス同様1963年にワイン法が作られ、原産地呼称保護の観点から4つのランクに分かれていました。2009年のEU加盟国のワイン法が改正され2010年5月から3つのランクに統合されています。DOCGとDOCはDOPに統一されましたが、旧DOCGも名乗る事が許されています。その為DOCGのワインは今でもDOPを名乗らずにDOCGの表記をしている生産者が多く見受けられます。DOCGの生産者にとってはDOCと同じレンジのDOPを名乗るのに抵抗があるのでしょう。フランス同様混乱の原因はここにあります。

ちなみにイタリアではフランス・ボルドーのシャトー毎のランクやブルゴーニュの畑ごとのランクはありません

DOCGとは

イタリアワインの中で一番高いレンジのワインで、2021年現在70を超えるワインがあります。新たなワイン法でもDOCGを名乗ることが出来る為、新ランク発足前に慌ててDOCGに昇格となったワインが多く見られました。当然DOCGを名乗れるには厳格な規定をクリアする必要がありますが、政治的な判断が横行していたとの噂もありました。旧DOCは330以上ありましたので、新しいDOPは400を超える計算になります。ソムリエを目指す方にとっては悲劇的な統合でしょうか。私が試験を受ける時代のDOCGはたった14でしたので、雲泥の差ですね。

スーパータスカン誕生

この格付けはあくまでも原産地呼称を守るために成された法整備です。つまりイタリアワインとは・・という観念からの規定です。その中でぶどう品種の規制があり、上位ランクを名乗るには決められたぶどう品種しか認められません。1994年まではカベルネソーヴィニヨンなどの国際品種は原産地呼称から除外されることになります。

あるボルドー好きの生産者がフランスのシャトーラフィットから苗木をもらい、ワインを造っていたそうです。これが世に認められ始めビジネスとして成功したのがサシカイアの誕生です。1970年代初頭に世に出たこのワインは当然DOCGやDOCなどでは無く、一番下位のVino da Tavolaです。美味しいワインを決めるのは消費者市場です。こんな美味なテーブルワインは見たことが無いといって価格は値上がりし、DOCGよりも高い価格で取引されるようになりました。これがスーパータスカン(トスカーナ)の誕生です。DOCGやDOCの規定にあたり不信を抱いていた世論の影響もあったのでしょう。

このサシカイアの成功を見たボルゲリの生産者は次々と高品質のワインを造り始めます。かつてボルゲリはVino da Tavolaの地でしたが、ついに1994年DOCへと昇格を果たしたのです。スーパータスカンと呼ばれているワインは他にソライアやルーチェ・ティニャネロなどが有名です。

IGTに注目!

今ではDOCの下位ランクIGTで数多くの高品質ワインが造られています。メルロー100%やシラー100%など原産地呼称を気にせずに生み出されるワインは、世界の専門誌などから高い評価を得ています。マッキオーレのメッソリオやトゥアリータのレディガフィなどは、ワインスペクテイターで100点を獲得するまでになっています。特にトスカーナIGTは世界的に注目されているレンジです。DOCG・DOCはイタリアの伝統を守っている高品質のワインに対し、IGTは革新的な新たな魅力のイタリアワインと言って良いでしょう。

おわりに

イタリアは色んな意味で驚かせてくれる楽しい国です。中世から受け継がれる美意識はまさに世界でも群を抜くレベルの高さと言っても過言ではありません。ファッションや車、料理しかりワインの世界でも独特のオーラを放つワインに目を奪われます。ラベルデザインでも保守的なフランスに対し、革新的でかつ繊細なデザインセンスが光るものが多いような気がします。ランクなんか気にせずウマいワインを造ろうぜ・・とイタリアの伊達男の声が聞こえて来そうです。

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