有名なイタリアワインを挙げよと言えば必ず5番までに入るであろう有名なバルバレスコは、イタリアのピエモンテにあります。バルバレスコを一躍世界的に有名にしたのがGAJA(ガヤ)でしょう。1960年代に現当主アンジェロ・ガヤ氏に引き継がれ様々な改革が行われました。当時単一畑の概念はフランスのブルゴーニュくらいでしたがそれを取り入れ、ピエモンテで初めてバリック(オークの小樽)を導入しバルバレスコに熟成期間の短縮とオーク独特の風味をワインにもたらすことに成功したのです。現在では多くの生産者がこのような醸造方法でワイン造りをしていますが、大きな樽で自然に任せて発酵させていた当時としては革新的なことだったのです。
バリックの導入の他1981年よりグリーンハーベストを導入しています。グリーンハーベストとは簡単に言えばぶどうの剪定で、収穫量を減らしぶどうの凝縮度を上げ深みと奥行きをのあるワインを造る試みです。またこの地で初めて国際品種であるカベルネソーヴィニヨンやシャルドネをランゲのテロワールで成功させたことで、この地のポテンシャルを証明しました。
こうしてガヤの名は世界中を駆け巡り、イタリアワインの帝王と呼ばれるほどになったのです。バルバレスコはバローロの格下というイメージを刷新しイタリアワインの女王とまで言わしめるまでに成長させました。ガヤは単一畑のバローロも造っていましたが、あえて1995年にはDOCGのバローロをDOCランゲに格下げして造るという単一畑こそが素晴らしいという風潮を打ち消し、最高のワイン造りを目指しました。他の単一畑であるソリサンロレンツォやコスタルッシと呼ばれる畑も以前はDOCGバルバレスコを名乗っていましたが、あえてDOCランゲに下げて生産されています。今また単一畑のバローロを生産し始めていますが、バルバレスコはガヤが最も愛するワインなのです。
常に最高品質しか造らないガヤのワインはイタリアのワイン評価ガンベロロッソでも、イタリア全ワイン生産者の中で、トレビッキエリ(3グラス=最高評価)を最も多く獲得しています。ラベルもスマートで風格を感じます。バルバレスコの銘醸ワイナリーは他にブルーノジャコーザが「王者」として君臨しています。ここも3つの単一畑を持ち最高レベルのバルバレスコを造っております。この二つがクオリティの高さでは二大巨頭として君臨してるのは確かでしょう。ただ非常に安価で品質に疑問なバルバレスコDOCGを見かけますので注意が必要かも知れません。