【イタリアワインの王】 バローロの特徴と味わい おすすめの9選

イタリアワイン「Barolo/バローロ」は、イタリアワインを代表する高級なワインとして世界中のワインラバーを魅了しています。バルバレスコ、ブルネッロディモンタルチーノと並びバローロは、イタリアの3大ワインの筆頭と称されています。その力強さと存在感から「ワインの王」「王のワイン」として世界中のワインラバーを魅了しています。さてどのようなワインなのか、おすすめのバローロも含めご紹介していきます。

バローロとは

バローロとは、イタリアのピエモンテ州にあるクーネオ県バローロ村を中心としたその周辺地域で造られる赤ワインです。長期熟成型の非常にしっかりとした男性的なワインとなります。イタリアの原産地呼称で最高ランクのDOCG(統制保証原産地呼称)に指定されており、バローロを名乗るには細かな規定があります。指定されている生産区域はランゲの丘陵にある11の村で、その村の中を100以上の「クリュ」と呼ばれる区画に分かれています。

バローロのぶどう品種

バローロはネッビオーロ種というピエモンテ州で良く栽培されているぶどうを使って造ります。以前は他のぶどう品種も混ぜていましたが、現在ではネッビオーロ種100%です。ネッビオーロ(Nebbiolo)のNebbiaはイタリア語の「霧」という意味で、秋の霧がかかる時期(11月)に収穫されることからその名が付いたとされます。ネッビオーロ種にはランピア・ミケ・ロゼ・ボッラの4種類が存在しますが、ランピアが主流であり、ミケは生産量は非常に少なく、高品質であるロゼとボッラはほとんど栽培されていません。

名の通り収穫時期が11月と非常に遅く(一般的には9月下旬から10月)栽培が難しい品種ですが、その分ぶどうにはタンニンと酸が多く含有する為、長期熟成向きの濃厚でしっかりとしたワインが出来るのです。

バローロの味わいの特徴

バローロを名乗るには最低38カ月の熟成を必要とし、そのうち18カ月は木樽熟成することと定められています。またリゼルヴァを名乗るには最低62カ月(内樽熟成18カ月)の熟成が義務づけられています。アルコール度数は13%以上の規定があります。長い熟成期間を終えて出来るワインはしっかりとした骨格を持ち、タンニンも豊富でベリー系の完熟した香りを持ちます。チョコレートやたばこのニュアンスもあり重厚な味わいが基本です。しっかりとした渋みと酸味を愉しむワインですが、但し畑の違いや醸造方法が多様になってきており、色々なスタイルのバローロが存在します。

バローロの土壌と産地

バローロの土壌

バローロが生産される地域では2種類の土壌に分かれており、その地区のバローロの味わいに違いを生み出しています。西側のバローロ村やラモッラ村では、「トルトニアーノ」と呼ばれる青い泥灰土と砂が交じり合った土壌で、石灰質でマグネシウムやマンガンなどが多く含まれています。そこで造られるワインは、上品で優雅なイメージと香りが高いバローロになります。また東側のセッラルンガ・ダルバ村付近の土壌は、「エレヴィツィアーノ」と呼ばれる鉄分が多く、赤茶色で、スパイシーで重く力強い長期熟成に向いたバローロを生み出します。

バローロの11の村

バローロ Barolo、カスティリオーネ・ファッレット Castiglione Falletto、セッラルンガ・ダルバ Serralunga d’Alba、ラ・モッラ La Morra、モンフォルテ・ダルバ Monforte d’Alba、ロッディ Roddi、ヴェルドゥーノ Verduno、ケラスコ Cherasco、ディアーノ・ダルバ Diano d’Alba、ノヴェッロ Novello、グリンツァーネ・カヴール Grinzane Cavour

バローロの5大産地とMGA

バローロの5大産地
バローロの5大産地

バローロの11の村の中でも「バローロの5大産地」と称される5つの村が有名で、それぞれのテロワール反映したワインが造られています。また、その村の中にさらに細かい単一畑(追加地理言及=MGA/Menzioni Geografiche Aggiuntive)が181存在します。これはフランスのブルゴーニュにある「クリュ=特定の個性あるワインを産出する畑」と同じ考えのもと指定されていますが、181のMGAにはブルゴーニュのように個別な格付けはありません。これらの単独畑で造られるバローロをクリュバローロと呼ばれており、近年注目が集まっています。5つの村と特徴は以下の通り。

バローロ村・・・バローロワインの名前はここから来ており、最もバランスの取れたワインが産出されます。その地のほとんどはトルトニアーノの土壌にあり優雅で気品ある味わいが特徴となります。有名なMGAは「カンヌビ」「カンヌビサンロレンツォ」など。

ラ・モッラ村・・・5つの村の中では一番面積が広く多くの生産者がおります。トルトニアーノの土壌の特徴により香りが高くてエレガントである、若いうちから飲めるフレッシュなバローロが造れれるのが特徴です。有名なMGAは「ロッケデッラヌンチャータ」「チェレクイオ」など。

カスティリオーネ・ファレット村・・・バローロの中心に位置する村で、最も小さな面積の為生産量も少なく貴重なバローロとされています。ラ・モッラ同様香りが高く上品な味わいが特徴です。有名なMGAは「ロッケディカスティリオーネ」「ブリッコボスキス」など。

セッラルンガ・ダルバ村・・・5つの村の中で東に位置しており、鉄分が多く赤味を帯びているエルヴェツィアーノの土壌になります。長期熟成に向いた力強く重厚なバローロが造られています。スパイシーなニュアンスも加わり、伝統的なスタイルとされています。有名なMGAは「ヴィーニャリオンダ」「フランチャ」など。

モンフォルテ・ダルバ村・・・セッラルンガダルバ村と同様にエルヴェツィアーノの土壌であり、濃くて重厚感のある力強いバローロを生み出します。それぞれの畑は他の村よりも面積が大きく、クリュによって様々な個性があるのが特徴です。有名なMGAは「ブッシア」「ジネストラ」など。

バローロファレット
セッラルンガ村のファレット畑のバローロ/クリュ バローロ

バローロのMGA一覧

バローロの畑一覧合計181・・複数の村にまたがっている畑があるので合計は異なります。

バローロ村のMGA一覧 36畑

Albarella
アルバレッラ
Bergeisa
ベルジェイサ
Boschetti
ボスケッティ
Bricco della Viole
ブリッコデッレヴィオーレ
Bricco San Giovanni
ブリッコサンジョヴァンニ
Brunate**
ブルナーテ
Bussia
ブッシア
Cannubi
カンヌビ
Cannubi Boschis*
カンヌビボスキス
Cannubi Muscatel*
カンヌビムスカテル
Cannubi San Lorenzo*
カンヌビサンロレンツォ
Cannubi Valletta*
カンヌビバレッタ
Castellero
カステレッロ
Cerequio**
チェレクイオ
Coste di Rose
コステディロゼ
Coste di Vergne
コスティディヴェルニェ
Crosia
クロージア
Fossati**
フォッサティ
La volta
ラヴォルタ
Le Coste
レコステ
Liste
リステ
Monrobiolo di Bussia
モンロビオーロディブッシア
Paiagallo
パイアガッロ
Preda
プレダ
Ravera
ラヴェラ
Rizassi
リヴァッシ
Rue
ルエ
San Lorenzo
サンロレンツォ
San Pietro
サンピエトロ
San Ponzio
サンポンツィオ
Sarmassa
サルマッサ
Terlo
テルロ
Vignane
ヴィニャーネ
Zoccolaio
ゾッコライオ
Zonchetta
ゾンケッタ
Zuncai
ズンカイ
*はカンヌビを名乗る事が出来る。**は他の村にもあり (他村にまたがっている)

ラ・モッラ村のMGA一覧 39畑

Annuziata
アンヌツィアータ
Arborina
アルボリーナ
Ascheri
アスケリ
Berri
ベリ
Bettolotti
ベットロッティ
Boiolo
ボイオーロ
Brandini
ブランディーニ
Bricco Chiesa
ブリッコキエーザ
Bricco Cogni
ブリッココニィ
Bricco Luciani
ブリッコルチアーニ
Bricco Manescotto
ブリッコマネスコット
Bricco Manzoni
ブリッコマンゾーニ
Bricco Rocca
ブリッコロッカ
Bricco SanBiagio
ブリッコサンビアジオ
Brunate**
ブルナーテ
Capalot
カパッロ
Case Nere
カーゼネレ
Castagni
カスターニ
Cerequio**
チェレクイオ
Ciocchini
チョッキーニ
Conca
コンカ
Fossati**
フォッサティ
Galina
ガリーナ
Gattera
ガッテーラ
Giachini
ジャッキーニ
La Serra
ラセッラ
Rive
リーヴェ
Rocche dellAnnunziata
ロッケデラヌンツィアータ
Rocchettevino
ロッケッテヴィーノ
Roere di SantaMaria
ロエロディサンタマリア
Roggeri
ロッジェーリ
Roncaglie
ロンカーリエ
San Giacomo
サンジャコモ
Santa Maria
サンタマリア
Sant Anna
サンタンナ
Serra dei Turchi
セッラディトゥルキ
Serradenari
セッラデナリ
Silio
シリオ
Torriglione
トッリリオーネ
**は他の村にもあり(他村にまたがっている)

カスティリオーネ・ファレット村のMGA一覧 20畑

Altenasso***
アルテナッソ
Brico Boschis
ブリッコボスキス
Bricco Rocche
ブリッコロッケ
Brunella
ブルネッラ
Codana
コダーナ
Fiasco
フィアスコ
Mariondino****
マリオンディーノ
Monprivato
モンプリヴァート
Montanello
モンタネッロ
Parussi
パルッシ
Pernanno
ペルナンノ
Pianta
ピアンタ
Pira
ピラ
Pugnane
プニャネ
Rocche di Castiglione
ロッケディカスティリオーネ
Scarrone
スカローネ
Solanotto
ソラノット
Valentino
ヴァレンティーノ
Vignolo
ヴィニョーロ
Villero
ヴィッレーロ
***はGarblet SueまたはGarbelletto Superioreを名乗れる。****はMonriondinoまたはBricco Moriondinoを名乗れる

セッラルンガ・ダルバ村のMGA一覧 39畑

Arione
アリオン
Badarina
バダリーナ
Baudana
バウダーナ
Boscareto
ボスカレート
Brea
ブレア
Briccolina
ブリッコリーナ
Bricco Voghera
ブリッコヴォゲラ
Broglio
ブローリオ
Cappallotto
カッパロット
Carpegna
カルペーニャ
Cerrati
チェッラティ
Cerretta
チェッレッタ
Collaretto
コッラレット
Colonbaro
コロンバーロ
Costabella
コスタベッラ
Damiano
ダミアーノ
Falletto
ファレット
Fontanafredda
フォンタナフレッダ
Francia
フランチア
Gabutti
ガブッティ
Gianetto
ジャネット
Lazzarito
ラッツァリート
Le Turne
レトゥルネ
Lirano
リラーノ
Manocino
マノチーノ
Marenca
マレンカ
Margheria
マルゲリア
Meriame
メリアーメ
Ornato
オルナート
Parafada
パラファーダ
Prabon
プラボン
Prapo
プラポ
Rivette
リヴェッテ
San Bernardo
サンベルナルド
San Rocco
サンロッコ
Serra
セッラ
Sorano
ソラーノ
Teodoro
テオドーロ
Vignarionda
ヴィーニャリオンダ

モンフォルテ・ダルバ村のMGA一覧 11畑

Bricco San Pietro
ブリコサンピエトロ
Bussia**
ブッシア
Castelletto
カステレット
Ginestra
ジネストラ
Gramolere
グラモレーレ
Le Coste de Mnforte
レコステディモンフォルテ
Mosconi
モスコーニ
Perno
ペルノ
Ravera di Monforte
ラヴェラディモンフォルテ
Rocche di Castiglione**
ロッケディカスティリオーネ
San Giovanni
サンジョヴァンニ
**は他の村にもあり(他村にまたがっている)

その他の村のMGA一覧 41畑

Bablino
バブリーノ
Bergera Pezzole
ベルジェラペツォーネ
Borzone
ボルゾーネ
Boscatto
ボスカット
Breri
ブレリ
Bricco Ambrogio
ブリッコアンブロージュ
Campasso
カンパッソ
Canova
カノーヴァ
Castello
カステッロ
Cerviano Merli
チェルヴィアーノメルリ
Ciocchini
チォッキーニ
Corini Pallaretta
コリーニパッラレッタ
del comune di Barolo
デルコムーネディオバローロ
del comune di Castiglione Falletto
デルコムーネディカスティリオーネファレット
del comune di Cherasco
デルコムーネディチェラスコ
del comune di Diano aAlba
デルコムーネディディアーノダルバ
del comune di Grinzane Cavour
デルコムーネディグリンツィアーネカヴール
del comune di La Morra
デルコムーネディラモッラ
del comune di Manforte dAlba
デルコムーネディマンフォルテダルバ
del comune di Novello
デルコムーネディノヴェッロ
del comune di Roddi
デルコムーネディロッディ
del comune di Serralunga dAlba
デルコムーネディセッラルンガダルバ
del comune di Verduno
デルコムーネディヴェルドゥーノ
Druca
ドゥルカ
Gallaretto
ガッラレット
Garetti
ガレッティ
Gustava
グスターヴァ
La Corte
ラコルテ
La Vigna
ラヴィーニャ
Mantoetto
マントエット
Massara
マッサラ
Monvigliero
モンヴィリエーロ
Neirane
ネイラーネ
Ornato
オルナート
Panerole
パネローレ
Pisapola
ピサポーラ
Raviole
ラヴィオーレ
Riva Rocca
リーヴァロッカ
Rocche dellOlmo
ロッケデロルモ
Rodasca
ロダスカ
Sottocastello di Novello
ソットカステッロディノヴェッロ
参考元:イタリア農林水産政策省/Ministero delle politiche agricole alimentari e forestali

バローロの歴史

バローロは19世紀の中頃までは甘口のワインとして造られていました。ネッビオーロ種を収穫する11月には気温が下がってしまい、アルコール発酵が途中で止まり、糖分が残ってしまっていたからです。その後、カミッロベンソカヴール伯爵(イタリア王国初代の首相)が、辛口に仕上げる為にフランスから技術者を呼び、当時の新しい醸造技術を使い、辛口の赤ワインに仕上げました。

その後も品質の向上を図り、1850年代には宮廷で飲まれるようになり、バローロの名前は知れるようになりました。サルディーニア王国のカルロ・アルベルト国王に気に入られバローロの称号を与えられたことが由来であるとの記述もあります。ただ当時のワイン全体の市場の中では、バローロの需要は高くありませんでした。1960年代ではバローロの生産はわずか6社程度の大手のネゴシアンが造っていた程度です。なぜなら当時のバローロのDOC規定で、熟成期間を最低3年かけなくてはならず、ぶどうの生産者がそれに耐えうる設備投資の余裕はなかったからです。

1980年にDOCG(詳しくは「一目で解るイタリアワインの格付けピラミッド」を参照してください) に昇格しましたが、若いバローロはタンニンが強く硬く飲みづらかったので、広くは消費されませんでした。

バローロ ボーイズ

1980年代に輸出商であったマルク デ グラツィアの呼びかけで、大手ネゴシアンにぶどうを売るだけではなく、ぶどうの栽培者が自らワインを造る小規模なワイン生産者として独立を図ろうという改革をはじめました。

そのためにはお金のかかるバローロの伝統的な醸造法を変える必要がありました。マセラシオンを短時間にし、樽の熟成も短期間にする事です。また収穫量ではなく、品質を重視するためにグリーンハーベスト(収穫制限)を行い、化学肥料を極力使わない農法に変えたのです。

こうして生産者元詰めのワインが増えていき、このモダンなバローロを造るマルクデグラツィアの第一世代のドメニコ・クレリコ、エリオ・アルターレ、パオロ・スカヴィーノ、ルチアーノ・サンドローネたちが「バローロボーイズ」と呼ばれるようになりました。

この新しい熟成期間の短くなったバローロはアメリカの市場で瞬く間に広がりを見せましたが、伝統的なバローロを支持する人々とモダンなバローロを支持する人々で長い間、論争が生じていましたが、近年になり和解になり、今では多くの生産者が伝統的な醸造法と革新的な醸造法の中間の製法を取っています。

バローロの醸造法

伝統的なバローロの醸造方法

40日から60日をかけて長いマセラシオン(醗酵中のワインにぶどうの果皮を漬け込む事)を行い抽出したワインを、スラヴォニアンオークの大樽で4年から8年かけて熟成させ、タンニンを柔らかくしてから瓶詰します。長期のマセラシオンと樽熟成で、酸化が進むことで新鮮な果実味は損なわれ、なめし革やキノコなどの熟成由来の複雑な味わいとなります。

モダンなバローロの醸造方法と現在の醸造方法

3日から15日のマセラシオン後に小樽で1.5年から2年の短い期間の熟成が新生バローロの醸造法です。これが実現出来たのは、やはりぶどうの収穫量の制限(グリーンハーベスト)や化学肥料を極力使わないで造ったぶどうの凝縮した力によるものでした。

現在では伝統的な醸造方法とモダンな方法の中間的な方法が多く使われています。マセラシオンは14日から20日で、樽の熟成は1年間は小樽で、さらに大樽で1年熟成させ、瓶内熟成を経てで計38カ月の熟成期間を経て出荷されます。

棚のバローロ
筆者のワインショップでも人気のバローロ

バローロの美味しい飲み方と当たり年

美味しい飲み方

バローロは最低38カ月(リゼルヴァは62カ月)の熟成期間が定められている為、現在市場に出ているのは理論的に、4年以上前のヴィンテージ(リゼルヴァは6年以上)と考えられます。輸入元によっては飲み頃を迎えたバローロを輸入することがある為、ヴィンテージを確認してみてください。しっかりとしたタンニンを持ち長期熟成に耐えうるワインなので、伝統的な造りをするバローロでは15年から30年の熟成でまろやかな味わいになると言われています。モダンな造りのバローロは10年から20年の熟成とされています。

クリュ バローロなどの上質でレベルの高いもので、入手したバローロが10年以内と若ければ、もう5年程セラー等で寝かせておくことをおすすめします。もし飲む場合(待てない!)場合は飲む前日から抜栓しておくか、デキャンタージュ(デキャンタに移し替えて空気に触れさせる)する事をおすすめします。バローロは特に味が開くのが遅いワインです。抜栓後に直ぐ飲むと、開くのが遅く、軽く感じる事があります。あれ?フルボディなのにって感じるかも知れません。ただしスタンダードなバローロにおいては、10年を待たずとも美味しく飲めるものがあるので、それほど神経質にならなくて良いと思います。

バローロは特に味が開くのが遅いワインです。抜栓後に直ぐ飲むと、開くのが遅く軽く感じる事があります。あれ?フルボディなのにって感じるかも知れません。 少し時間をかけるか、グラスをスワリング(グラスをクルクル回す)して見てください。香りが立って来てだんだん重厚な味に変化していきます。バローロが思ったよりも軽いというい口コミレビューをたまに見かけますが、上記のせいかもしれません。

バローロの当たり年

バローロは長期熟成型のワインの為、当たり年が気になりますね。近年の当たり年は、1971年・1978年・1979年・1989年・1990年・1995年・1996年・1997年・1998年・1999年・2000年・2001年・2004年・2007年・2009年・2010年です。特に2010年はバローロにとって完璧な最優良年とされています。その分値段も跳ね上がっています。その飲み頃は2030年くらい・・ちょっと気の遠くなるような年ですが、そもそも当たり年というのは、気候にとって最良のぶどうが収穫された年。ついては味わいもさることながら、非常に長期な熟成に耐えると言うことであり、そのポテンシャルが素晴らしいという意味です。

では当たり年ではない(グレートヴィンテージの逆でオフヴィンテージと呼ばれる)はどうかというと、美味しくないというわけではありません。まずは天候不順だった為ぶどうの収穫がすくなくなり、ワインの生産量も減ります。メーカー各社は自社のラベルを貼って不味いワインは当然出荷せず、品質に見合ったぶどうのみを使うのです。また良い年よりも長期熟成が短くなるかもしれません(飲み頃が早く来る)。長期熟成にこだわらなければ、逆に”買い”なのかも知れません。

バローロの料理との相性

肉の煮込み料理

パワフルでタンニンの多いバローロは、やはりお肉料理との相性がぴったりきます。脂分の多いステーキはもちろん、子羊のローストやミートローフなど濃い味付けの料理にも負けません。日本ではあまり馴染みがありませんが、鹿やうさぎなどのジビエ料理などが現地では好まれているようです。特に「ブラザート アル バローロ」という煮込み料理が有名で、これは牛のうで肉などをバローロで煮込む料理で相性は抜群とされています。

クリームパスタ

肉料理以外ではピエモンテ産の白トリュフを使った料理や、マッシュルームなどのきのこ料理などが、複雑なワインの味わいにマッチします。日本ではなかなかブラザート アル バローロやトリュフ料理は敷居が高そうです。日本での料理を考えるとすき焼きや味わいの濃い鍋、ステーキなどがマッチします。ミートソースやクリームパスタ、ラザニア、香草を使った料理、濃厚なチーズにも相性が良いワインです。

バローロとバルバレスコの違い

同じピエモンテ州のワインでバルバレスコがあります。ピエモンテの2大ワインとして有名な赤ワインです。バローロと同じくDOCGであり、バローロが「ワインの王」と称えられているのに対し、バルバレスコは「ワインの女王」と呼ばれています。産地もとても近くおなじぶどうであるネッビオーロ種を使っていますがその違いとは何か。

両者の違いは、法定熟成期間とアルコール度数、味わいや香りです。バローロの最低熟成期間が38カ月(うち樽熟成18カ月)なのに対し、バルバレスコは26カ月(うち樽熟成9カ月)となっています。アルコール度数はバローロが13%以上に対しバルバレスコは12.5%以上です。またマセラシオンの時間もバルバレスコはバローロより短くなります。そのことからバローロと比べ渋みや酸味が柔らかくなり、女性的なエレガントな味わいと香りになるのです。それらの要因はその土壌の違いにあります。バルバレスコの土壌はバローロの土壌よりも肥沃とされているので、タンニンの含有や味わいに違いが出てくるのです。

おすすめのバローロ 価格別の9選

バローロの価格は、スタンダードのバローロ(地区名バローロ)で概ね3000円台後半からで、クリュバローロ(畑名バローロ)が10000円程度からでしょうか。リゼルヴァやヴィンテージ物などでかなり高額なバローロも多くあります。ただ3000円を大きく下回るバローロもありますが、理由のない安価なバローロはあまりお勧め出来ません。バローロの熟成期間の長さなどから考えると、妥当なスタンダードのバローロは3500円以上ではないでしょうか。

5000円以下のバローロ

バローロ ナターレヴェルガ

ナターレヴェルガバローロ
バローロ ナターレヴェルガ

このワインをおすすめする理由は、信頼のおけるネゴシアンで、他のワインも人気がある事と何よりその抑えた価格です。「より多くの人が気軽に楽しめる高品質ワイン造り」を目指しているナターレヴェルガのスタンダードなバローロです。伝統的な最新技術が生み出す圧倒的なコストパフォーマンスが人気です。濃縮感のあるプラムのような果実味、しっかりしたタンニン、スパイスのニュアンスが感じられるボリュームのある赤ワイン。コスパの良い裏付けとしてコンクールでの賞も数々獲得しています。ベルリン ワイン トロフィーゴールド、“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards 2018 シルバー、ムンダス・ヴィニ2016 金賞(ベスト・オブ・ショー)等。ラベルもスマートで美しい。

愛飲者の口コミレビュー

味はバローロならではの濃さと風味が好きです。僕はバローロの中でもナターレ ヴェルガが好き。
まずラベルが好き。白の打ち出しのラベルは品があって一度見たら忘れません。そして味も最高!2010年物から飲んでますが、毎年美味しくて買い求めます。
定番で買うワインは何種類かありますが、このバローロはリーデルのグラスと相性も良くて大好きです!
ボルドメさん
とあるワイン6本セットで初めて飲みました。 Baroloのワインを友達と飲んだら、いっぺんでファンになり3本購入。 ワイン初心者の僕ですが、4年熟成のコルクを開けた時の芳醇さと舌触りに感銘です。香りが深く残ります。さすが!素敵なワインです!
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バローロ パトレス サンシルヴェストロ

バローロパトレス
バローロ パトレス

おすすめポイントはバローロ村以外にも近隣にワイナリーを持ち、その地のテロワールを熟知している点と高いコスパです。1871年からワインづくりをしているサルティラーノ一家が営む、サン・シルヴェストロ。モンフォルテ・ダルバ村、バローロ村、ノヴェッロ村、バルバレスコ村にそれぞれエステイトを持ち、伝統的な大樽熟成でそれぞれのテロワールの特性を活かしたワインづくりを行っています。銘醸産地ながらも、非常にリーズナブルなワインは高い人気を得ています。綺麗な酸、チャーミングな味わいの一方、逞しさがあり長い余韻があります。

愛飲者の口コミレビュー

熟成5年なのにこの濃厚さ。これぞバローロですね。お値段格安とはいきませんが納得価格です。
50代 男性
サン シルヴェストロ / バローロ パトレス

バローロ ニコレッロ

バローロ ニコレッロ
バローロ ニコレッロ

古い歴史を持ってるワイナリーであり、専門家の評価も高いのがおすすめの理由です。伝統的手法で熟成したネッビオーロの美しさを表現するワイナリーです。「ニコレッロ」社の歴史は古く、1900年初頭、ワイン造りの伝統が根付いたピエモンテ州のランゲとロエロの丘陵にワイナリーが設立されました。先祖代々ブドウ農家だったニコレッロ社のオーナー、カゼッタ氏はこの地の気候・土壌・ブドウを熟知しており、ワイン造りと自然環境への配慮、ブドウの選別には常に心を砕き、より自然なワインをつくる為に熱心に技術革新と設備投資を続けています。 スラヴォニアンオークの大樽 で48カ月という伝統的な醸造法にこだわった均整のとれたボディにこなれたタンニン、いきいきとした果実味が特徴です。

愛飲者の口コミレヴュー

久しぶりのバローロです。この作品はビンテージ違いのリピートです。とても丁寧に造られた2005年の作品、抜栓しグラスに注ぐと若いブルゴーニュに似た赤紫の色合い、少し粘性のあるボディ、プルーン、草、しっかりとした樽香、豊満でむせかえるようなアロマです。強めの酸味と熟した果実の味わい、甘みを感じる長めのアフター、熟成初期にある高コスパの親しみ易い作品、お奨めです。
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10000円以下のバローロ

バローロ アゼリア

バローロ アゼリア
バローロ アゼリア

自社畑のぶどうを使っているので、ぶどうの品質を熟知したうえでのワイン造りが出来る点で信頼を置けるワイナイーです。6か所の自社畑のぶどうをブレンド。花などの洗練されたアロマはカスティリオーネファレット地区、力強さはセッラルンガ地区の特徴。ワイナリーを代表する伝統的なバローロです。1990年代に革新派のマニフェストを採用。その後、1995年にバローロを近代化したルネッサンスの担い手マルク・ディ・グラッツィアのグループに加入し、バローロ・ボーイズの一員としてアメリカで人気を博しています。全て自社畑生産で、畑はカスティリオーネ・ファッレット、セッラルンガ・ダルバ、モンテルーポ・アルベーゼに位置しています。リゼルヴァを含む4つの知名度の高いクリュ畑を擁しております。

愛飲者の口コミレビュー

通常10年頃経たないと美味しさが発揮されないバローロだけど、これは若くからでも美味しい!
rararaさん

バローロ プルノット アンティノリ

バローロ プルノット
バローロ プルノット

イタリアではアンティノリを知らない人はいないほどの名門ワイナリーのバローロで、日本でも大人気です。第一次大戦後からスタートしたプルノットは、当時の世界市場で「ピエモンテのワインと言えばプルノット」と言わるほどの知名度を誇るワイナリーでした。様々な畑のブドウの混醸が一般的であった当時のピエモンテにおいて、「Cruクリュ」の概念を初めて導入したのもプルノットです。1989年にアンティノリに引き継がれ、更なる高品質に努め造り出されてるバローロです。ベルベットのような滑らかさの中に力強さを秘めた古典派バローロ。15日間スキンコンタクトの後、フランス産オークの大樽で熟成。その後10か月瓶内熟成を経てリリース。タンニンはベルヴェットのようになめらかで、凝縮した果実のアロマが複雑で豊かな味わい。スパイシーな余韻がどこまでも続いていきます。

愛飲者の口コミレビュー

バローロは高価なので、しょっちゅういただくわけにはいきませんが、アンティノリが経営するプルノットのバローロは香り、渋み、甘味、などのバランスが最高です。ちょっとした時に飲みたいなと思うワインのひとつです。
さ・と・ぴさん

10000円以上のバローロ

バローロ ブリッコフィアスコ アゼリア

バローロ フィアスコ アゼリア
バローロ ブリッコ フィアスコ アゼリア

カスティリオーネ・ファレット村のMGA単一畑でブリッコ フィアスコはスカヴィーノ家だけが所有しています。オーク樽熟成 24カ月(オーストラリア産、スラヴォニア産、仏産、25HLー50HL 新樽比率20%)/瓶熟成 12カ月以上 (ノン・フィルター)、ワインアドヴォケイト94点、ヴィノス92点+、ヴェロネッリ 2020 92点 3星など数々の高い評価を得ているバローロです。現当主は4代目ルイージ・スカヴィーノ氏でバローロボーイズのパオロスカヴィーノ氏の家系。優れたバランス感と果実の密度があり、柔らかく温かみを感じます。強く深い味わいの魅力あるワインです。

バローロ ブリッコ フィアスコ アゼリア

バローロ カンヌビ エイナウディ

バローロカンヌビエイナウディ
バローロ カンヌビ エイナウディ

『ルイジ・エイナウディ』はイタリアの戦後に、初めて選挙で選ばれた大統領であるルイジ・エイナウディが1897年に創設した歴史あるワイナリーです。栽培されているぶどう樹の平均樹齢は25~30年で、40年を超えるものも少なくありません。バローロ村でも特に銘醸畑とされるカンヌビ単一畑のバローロで、パワフルさに特化する近年の傾向には迎合せずに、伝統的なエレガントスタイルのワインを造り上げています。ガンベロロッソ・トレビッキエリ受賞、デキャンター誌94ポイント、パーカーポイント93。カンヌビ以外のバローロも造られている。

バローロ ダグロミス ガヤ

バローロダグロミス
バローロ ダグロミス

イタリアワイン界において最も有名なワイナリーの一つであるガヤ秘蔵のバローロです。他のバローロとは一線を画す2つの偉大な畑のブドウをブレンド。力強い果実味とエレガントなタンニンによる、しっかりとした骨格が魅力です。ガヤは有名評価誌に評価されるのを嫌い、一切登場しないことで有名です。最上級単一畑の若樹が生む、果実の凝縮感と極上のエレガンスを備え、バローロファンや愛好家の間で人気の高い逸品です。

愛飲者の口コミレビュー

バローロの中でも味わいのある逸品でオススメです。ヴィンテージ2016を2本お願いして大正解でした。でも若干まだ若いかな。もう1本は少し寝かせてから飲もうと思います。
40代 女性

バローロ ファレット ブルーノジャコーザ

バローロファレットジャコーザ
バローロ ファレット ジャコーザ

ピエモンテの伝統派王者として君臨する生産者ブルーノジャコーザのセッラルンガダルバ村の単一畑MGA「ファレット」のバローロです。畑と醸造における伝統に敬意を払うという、単純にして明瞭な哲学の下にワインは造られています。シンプルだからこそ出せる、独特のフィネスがあり、世界中からイタリアを代表する生産者と認められ「バローロのロマネコンティ」とも評されています。ステンレスタンク/18ー20日間のマセラシオン、オーク樽熟成 36カ月(55HL)/瓶熟成 12カ月以上。年産平均6812本のみ。ワインスペクテイター95点、ジェームスサックリング97点。

バローロ ファッレット / ブルーノ・ジャコーザ

おわりに

バローロの歴史をみると、生産者の苦難な道のりがあってこそ、現在の輝かしい名声があるのだと改めて思い知らされます。バローロに限らずワインは人と自然との対話であり、戦いなのでしょう。そんな思いを馳せながらワインを飲むと、とても愛おしくなって来ます。お酒でありながら、農産物であるワインって・・凄い!!

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